ようちえんのおみせやさんごっこで、悲しみを乗り越えて豊かな発想で遊びを楽しむともくんのお話です。
メインのテーマである後半の展開は良いのですが、前半で、ともくんを打ちのめす先生の数々の言動が許せず、読後もムカムカが消えません。
まず、「やりたいお店を決めなさい」なんて命令する先生は嫌です。
さらに、迷っている間に「じゃ、あとの人たちはお客さんよ」と切り捨ててこどもの話も聞かないし、お店がやりたくて泣きだしたのに、「どうしたの?おなかでも痛いの?」
とトンチンカン。
こんなにこどもを見ていない先生、ありえません!
友達が「泣き虫だから虫屋さん」と、ひどい言葉をはいたら、なんと、先生まで一緒に笑うんです。
ともくんが傷ついてトイレに閉じこもると、怒り、終いには「もう知らないわよ!」ですって。
ストーリーとしてともくんを一度どん底に落としたかったのでしょうが、もっと他の表現はなかったのでしょうか。
「悪い大人」「分かってくれない大人」として描かれているのなら良いのでしょうが、この先生は自然すぎて、こどもは素直に歪んだ大人像を受け止めてしまいそうです。
娘が図書館で選んだ本でしたが、いじわるに便乗して笑うなんてことが当たり前だと感じてほしくなかったので、「ひどいね、こんなことをしたら悲しいよね」と話しながら読みました。