広松由希子さんがずっと残したい絵本A。
不思議な題名ですが、滋味深い物語に納得です。
ある日突然旅立ちを決めたヤマネコ。
ハリネズミは、森の仲間に、ヤマネコとの思い出を刺繍して餞別としてプレゼントしよう、と提案するのですね。
それぞれが刺繍する様子から、ヤマネコとの思い出が立ち昇ります。
思い出は必ずしもいいものばかりではないようですが、
旅立ちの際は、ある意味いい形で昇華するのですね。
色刷りの木版画がいい塩梅に思い出を表現しています。
刺繍という手作業の効果もありますね。
みんなの布片を接ぎ合わせて毛布にするなんて素敵です。
複雑な思いのシマリスの、最後での枕プレゼントも、感無量です。
巻末にそれぞれの布片が添えられ、壮観です。
しかもちょっとした編集がされていて素晴らしいです。
小学生くらいから大人まで、旅立ち本としていいかもしれませんね。