昔話では、優しいおじいさんと業突く張りなおばあさんという組み合わせで登場することが多いんですが、こちらとっても優しい現代のおばあさんのようです。
一人暮らしのおばあさんが、川の近くの畑で野菜を作っていました。
夏、食べ頃になったであろう野菜を採りに行くと、ないんです。
たぬきかな?いたちかな?くまかな?
一人暮らしだから、植えた野菜も食べきれないし、誰かが手伝って食べてくれれば、有り難いって思うおばあさん。
ある日の夕方、そこにいたのはカッパ。
腰が抜けそうになりながらもこっそり様子を見て、くすっと笑いました。
自分のような年寄りでも誰かの役に立っていることが、嬉しそうです。
それからというものおばあさんは、きゅうりやトマトをほんの少ししか採らず、カッパのために残しておくようになります。
そして、柿の木の陰からこっそりのぞいています。
おばあさんの「もっと もってけ。・・・・・・」の言葉がとってもあったかいんです。
たくさん食べさせてやりたい親ごころのようなものですね〜。
夏が過ぎ、秋が深まるとカッパはやって来なくなりました。
ある日、おばあさんの家の戸がトントンと叩かれて、・・・・・・。
最後のカッパ一家の表情が、愉快です。
巻末の最上先生のおはなしにもとても共感できました。