大好きなおじいちゃんが死んでしまったというところからストーリーが始まります。
もうその文字を見ただけでドキドキしました。
そして読んでいるうちぼくの小さな心で死を受け止めようとしながら葛藤しているぼくの健気でひたむきな姿に感情移入してしまい、涙が出そうでした。
いつも温かい存在であったおじいちゃんがいない・・
こんな寂しい事実を子どもが受け入れられるまでにどれほどの時間を要するでしょう。
大好きな人との別れをきっと初めて経験したぼくにとって、辛く長い時間が絵本に描かれています。
でも、その中にも、おじちゃんがきっといつまでも見守ってくれているという気持ちの変化が見えてきます。千年いちょうの木の下で聞こえた気がしたおじいちゃんの声。
受け入れたくないけれど大好きなおじいちゃんとの思い出をたどってきたぼくが時間をかけて。自分で受け入れられたから聴こえた声なのでしょう。
繊細なタッチで優しく描かれた絵がこのストーリーにとてもマッチしています。
死をテーマにする絵本はとても難しいと思います。でも読み手に深くやさしく生や死について語り掛けてくれるような優しさで伝わってきます。
読み終えた後は寂しいけれどどこか新しい光を見いだせたような‥そんな気持ちにさせてくれました。