オールズバーグの端正な絵が、意地悪な歯医者ビボットを
一層憎たらしく見せてくれます(笑)。
診療費が支払えないからと、
おばあさんが差し出した不思議ないちじく。
食べると夢に見たことが正夢になるいいますが
そんなことをビボットが信じるはずもありません。
けれどもイチジクを口にした翌日に起きたことは、
そのビボットをも納得させる、あり得ない出来事だったのです。
それ以来、自分の夢を正夢にするためにとる
ビボットの行動がまた彼らしい。
周到に準備し、万全だったはずが
飼い犬のマルセルによって…。
「この意地悪な主人公はどうなるのだろう?」
と読んでいた私には爽快な結末だったのですが、
小学6年生のクラスで読み聞かせたところ、
ある男の子が「怖っ!」とつぶやいたのでした。
吠えることも許されず、急な階段も抱いてもらえない
かわいそうなマルセルに共感しながら読まれることを
おススメします。