雑誌に連載していたこともあり、前半の導入部分に比べて、後半の展開がはしょられたような気もしますが、物語自体は濃厚で面白かったです。
さすが、佐藤さとるさん!
天狗の出てくる物語ですが、天狗が「人さらい」といわれているわけ、天狗の変化(へんげ)の仕方、天狗道の流れなど、ちゃんと筋道が通をっていて、ただ「天狗」が主人公というだけでない、しっかり作られているところがすごくよかったです。
少し前にはやった「町でうわさの天狗の子」という漫画で描かれていた“天狗道”と似ているところもあって、思い出してしまいました。
この漫画を知っている、または読んだという人には、ぜひこちらの「天狗童子」も読んでもらいたいです。
鎌倉を舞台に描かれているお家騒動(鎌倉時代後期の事件)も、歴史にのっとった部分が多く、歴史好きの人にも是非お勧めしたい一冊です。