昨日、クリスマス絵本の特集をしていた図書館で、久しぶりに再会しました。いつ読んでも、「人生の真実を語っているなぁ・・・。」と、ため息が出ます。スベン・オットーの絵も繊細でステキです。
同じくスベン・オットーの絵による「クリスマスの絵本」(絶版)と同様、華やかで楽しくてキラキラしているイメージのクリスマスを、また違った角度から見つめている絵本だと思います。
ちいさなもみの木だったころは、あたりまえのように周りに満ちていた愛や幸福に気付かず、大きくなって今いるところから出て行くことに憧れる。
やがて大きくなると、美しく飾り立てられるクリスマスツリーの噂に、自分もそうなりたいと願う。
そして、切り倒され、願い通りに美しいクリスマスツリーになったもみの木は、楽しいようなつらいような、けれども後から思えば夢のような一夜を過ごす。
ところが、翌日にはもう厄介者扱いとなり、物置でねずみたちに良かった頃の昔話をしても、次第に飽きられ、ついには黄色く枯れて、燃やされてしまって、はい、おしまい!(記憶を頼りに綴りました。)
・・・なんとも、やりきれないお話ではあります。
けれども、例えば、「あの人は今!?」のようなかたちで語られる芸能人。戦争を生き抜き、今日の日本の繁栄の土台を築いた挙句、若輩者から邪魔者扱いされるお年寄り。そして、いつか必ず最期の時を迎える未来の自分。・・・絵本のもみの木と、重なり合うものがあるように思えてなりません。
このような絵本こそ、人生の真実を語る絵本と言えるのではないでしょうか。・・・とはいえ、感受性の強い5歳の我が娘には、刺激的過ぎて、もう少し大きくなるまで紹介できないなぁと思うので、☆☆☆☆にとどめました。それにしても、こちらも絶版ですか?残念です。