かかしというと、田園などでのんびりたたずみ、ほのぼのとした雰囲気を放っているものというイメージがあります。
でもこのお話のかかしは違います。とっても怖いのです。
母親の再婚相手が気に入らない少年サイモンは、日ごと家族から孤立していきます。
そして増幅する憎しみの気持ち。
そんなサイモンの憎悪が、曰く付きの「かかし」を家に近づけるのでした。
どんどん近づいてくるかかし。
家にやってきたら一体何が・・・じわじわと攻めてくる恐怖を感じます。
新しい父親をなかなか受け入れることのできないサイモンの度重なる嫌がらせ。
その行動は目に余るほどですが、逆にそれがとても痛々しくも感じます。
自分の願いとは裏腹に、家族から敬遠されていく姿。
自業自得とは言い切れない、何ともいえない切なさがあります。
かかしを近づけてきたもの、それは誰もが抱く感情。
私たちにも、違った形でこんなことが起こるのかもしれません。