ジュゼッペは街のみんなから「トリツカレ男」というあだなで呼ばれている。
一度なにかにとりつかれてしまうと、もう他のことにはいっさい目がいかなくなってしまう。
またそのとりつかれかたが、普通じゃない程の徹底ぶりなのだ。
ジュゼッペはオペラ、三段跳び、探偵、サングラス集め、ねずみ飼育、ありとあらゆるものにとりつかれてゆく。
そんなジュゼッペもある日出逢った少女に恋をした。
少女にとりつかれてしまったのだ。
冒頭ではいかにジュゼッペが色んなことに傾倒して、のめりこんでゆき
、
そしてまた突然プイと他の事に興味を示し、またとりつかれてゆくーーというエピソードが滑稽に描かれていて、とにかく楽しんで読める。
少女の喜ぶ姿を見たいがためのジュゼッペの行いはある種異常とも取れるが、自分を犠牲にしてまでのジュゼッペのひたむきさに心を打たれる。
かわききった心にジュゼッペの純粋さは潤いを与えてくれる砂漠の中のオアシスみたいだ。