すごく想いのこもった作品でした。
中高生のお子さんたちに、南北戦争を習った(または習う前)後に紹介したいな〜と、思って、試しに音読してみたら、なんと!33分かかりました。
間を考えずに、とりあえず一通り読んでみての分数なので、間を入れて読むともう少しかかりそうです……。
残念。読み聞かせは難しそうです。ブックトークでの紹介を何らかの形でしていけたらいいなと思っています。
この話は、作者パトリシア・ポラッコのひいひいひいおじいさんに当たる人に本当に起こったことで、
ひいひいひいおじいさんの「シェルダン」が、当時15歳で南北戦争に参加していた頃の思い出を
彼が大人になってから自分の子どもに語り、その子がまた子どもに語り…と、パトリシアもお父さんから語り聞いた話です。
パトリシア・ポラッコの絵本のほとんどは自分が実際に経験したことを物語った作品が多いですが、
この作品は、直接作者にあったことを語っているわけではなく、終始語り手(聞き手でもあります)として存在しています。
シェルダンを助けてくれた少年は黒人の「ピンクス」。南部の奴隷の1人でしたが、主人が文化人だったのか、ピンクスは文字が読め、たぶん当時は画期的なアイテムであった“メガネ”を持っていました。
ピンクスの母、モーモー・ベイは、愛嬌があって大らかでとても母性の強いやさしい人。
シェルダンは彼らが『確かに生きていた』ことを伝えたかったのでしょうね。
でも、まさか自分のひいひいひ孫が絵本という媒体で、このふたりの物語を伝えてくれるとは思ってなかったでしょうね〜。ぜひぜひ、たくさんのお子さんたちに手に取ってほしい1冊です。