この絵本に描かれているおつきさま、オレンジ色なわけ、アンドレ・ダーハンさんのインタビュー記事を見て納得しました。
真っ赤な火の玉のおつきさま、見られたんですね。
つい先日、3歳の息子が、真っ赤に沈む夕日を見て「うわぁ、オレンジおつきさま、きれいねぇ」と随分感銘を受けていました。
太陽なのですが、雲からの透け具合と、光の加減でちょうど燃え上がる満月のように見えた夕日、息子にとってはまぎれもなくお月さまだったようで、その後ずっと、「オレンジおつきさまきれかったね、ここからみえたね」といい続けていたので、よっぽど印象深かったようです。
だからこの絵本の夕日のようにも見えるオレンジお月さま、とっても親しみがもてます。
どのページも、飾ってずっと眺めていたいくらい綺麗です。
絵だけを見ていても癒されるのはもちろん(私のお気に入りのページはお月様とお星様が海の中へダイブするページ!)、ストーリーも壮大で普遍で、ステキです。
中学の頃、合唱コンクールで歌った歌を思い出しました。
夜明けの歌で、「瞬きを止めた星たちの」もと「身じろぎをしている水平線」で「空と海が今たがいの青をわかちあう」という歌詞。
とっても素敵だと思って、こんな世界のお話が合ったらいいのに、と思っていた夢が、20年越しに絵本の形で贈られてきた気がして、しかも思い描いていたよりはるかにファンタジックな世界で、感動しました。
「そらとうみがすいへいせんでとけあうじかんです」
この絵本の言葉、歌の歌詞と意味するところは同じで、詩人の心を持った芸術家は、いつだって、こんなセンスを持っているんだと気づかされました。
歌は夜明けだったけど、この絵本は夕暮れ。
絵本に触れることが出来た私たちも、そのお陰で、日々の夜明けと夕暮れが、神秘的になる恩恵をこうむります。
表紙も邦訳も「ぼくのともだちおつきさま」に似ていますが(To the Skyという英語名、よりスケールの大きさが伝わってきていいのでは、と邦訳がちょっと惜しまれますが)、色づかいがいちだんと美しくなり、絵で伝わってくるものがぐんとグレードアップしている気がします。
今は「うちゅう、うちゅう!」「おさかなさんもいるね」とまだ知っているものにしかあまり反応しない息子ですが、もう少し大きくなったらまた違う反応を見せてくれるだろうと、今から楽しみです。