暮れの歌番組で初めてこの詩を知りました。
声楽家の方が歌っていたこともあり、心が揺さぶられるような感動がありました。
この絵本は、内容が重いような気がして、なかなか手に取ることが出来ませんでしたが、少し自由な時間ができ、ゆったりとした気持ちでなら読めるかと思い、借りました。
作者不明の有名なこの詩の誕生について、新井満さんが想像を働かせて描いたのが、この絵本の物語です。
詩を読んでイメージを膨らませたいという方には、この絵本は向きません。
ただ、いろいろなシーンで謳われてきたこの詩の繰り広げる物語の一つが独立して本になったと思えば、この本はとても素晴らしい絵本です。
私は特に、9・11の追悼集会で遺族が朗読したこと、IRAテロの犠牲者が両親に遺した手紙にこの詩が入っていて、葬儀の時に父親が朗読したこと、多くの人々から愛された有名人の葬儀で朗読されたこと等が、この絵本の冒頭に述べられているところが素晴らしいと思います。
多くの人々の心に残っているからこそ、こんなに感動を呼ぶのでしょう。
美しく力強い絵が描かれていますが、子どもよりむしろ大人向けだと思います。