宮沢賢治の童話です。が、読んでいて“安房直子”さんの作品のイメージとダブりました。
今も岩手県・花巻周辺に伝わる郷土芸能『鹿踊り』そのルーツをかぜから聞きました。
なんて書き始める賢治は、すごくメルヘンな人だったんですね〜。と改めて感じました。
でも、出だしはお堅いイメージで始まっているので、あまり年齢が低いととっつきにくいかもしれません。
そしてこの『鹿踊り』なるものが、実際どう踊られているのか知っている人の方が、数段楽しめると思いました。
私は残念ながら『鹿踊り』を知りませんでした。この絵本を読んで、とても見てみたくなりました。
偕成社さんの日本の童話名作選シリーズという賢治の作品を多数絵本にしているこのシリーズは、どれもなかなか素敵な仕上がりになっています。
今まで、活字でしか読んだことのない珍しい作品がいくつも刊行されています。
この『鹿踊り』はたかしたかこさんという方が絵を描かれています。
岩手の山(森)の風景や、はたから見るとコミカルに踊る鹿たちの姿を、すごく明るく楽しく描いてくれていました。
特に最初に嘉十(かじゅう)が忘れていった手拭いを調べていた鹿が、何かに驚いて飛び上がっている姿は、面白かったです。
小学校の高学年から中学・高校生または大人たちにお薦めです。できたら、黙読するひとり読みより、グループでも、大人が読むのでもいいので、声に出して読んだ方が賢治のお話は数倍楽しくなります。