お風呂屋さんの様子がとても良く分かる絵本だと思います。秋山さんの細部までとことんこだわった絵がとても素晴らしいです。自分自身がお風呂屋さんに行っている錯覚に陥りました。スーパー銭湯ではなく、昔からある“お風呂屋さん”というところが良かったです。5月5日はこどもの日だからと言って家で菖蒲湯を準備する家庭というのはなかなかなくなってきたように思います。菖蒲が生えている地域に住んでいない人の方が多いように思うからです。そして、あまり売っていないと思います。そんな時けいちゃんの”ふくゆ”があったら!と思いました。1人のお客さんの為に。いつも来てくれるお客さんの為に。子供の日の為に。お父さん、お母さん、ペンキ屋さん、廃材屋さん。みんなの協力があってこそ成り立っている。暖かさと、感謝の気持ちを自然と感じられる絵本です。本当に細かいところまで描かれているのでとても現実的です。実際にお風呂屋さんに行ってもいないのに行った気分にさせてくれる絵本です。私が好きなシーンはお母さんが御茶にしましょうと言ってお菓子を出すシーンです。よく見るとこれは多分こどもの日にちなんで”柏餅”ではないかと思うのです。とても季節感を感じます。そして、日本の良き伝統を重んじていると思います。読者はそれをよく感じることができると思います。そして、子どもの日とは関係なくいつもの様に掃除をする2人。掃除をして二人で机に向って幸せそうに会話をする二人がとても微笑ましいです。この二人が飲んでいるのが熱いお茶というのもいいです。とても幸せを感じられる絵本だと思います。