表紙の白くま、裏表紙の子供、力強い絵に惹かれて手に取りました。
極寒の地で静かに進む不思議なストーリーに引き込まれました。
白くまの子がワタリガラスにさらわれて、7年間子供を願った夫婦のものとへ人間の姿で託されます。夫婦に愛され人間として育った子供が7歳になった時、再びワタリガラスに導かれ、引き離された母グマと再開するのです。人間の親と白くまの親が対峙する緊張感、こおりのつめたさ美しさが物語の舞台をもりあげます。ヒトとクマ、両者の気高く深い子供への愛情、子供はクマとして生きるのか人として生きるのか。
動物とひとの境界がない、大昔の物語です。
親子愛、敵対と感謝、動物と人間、ワタリガラスの役割、異端の子の価値、たくさんのテーマが複雑に絡み合った読み応えのある絵本です。
小1の息子は静かに聞いていました。物語への理解は不十分でしたが、しろくまの絵に引き込まれた感じです。
小学校高学年以降なら、この絵本のもつ力がわかってもらえるかと思います。
構図は大胆で、絵も大きく、ひとクラス分程度の読み聞かせは大丈夫だと思います。絵は実写的です。ゆっくりじっくり読み聞かせようとすると、15分かそれ以上かかります。今回、5年生の読書ボランティアの絵本候補にしていましたが、時間的制約であきらめました。表紙をみせておすすめだけはしてきました。