アフリカの熱帯雨林で誕生したメスゴリラ・サリージョーンズが、人間に捕えられ、数奇な運命をたどっていく。アフリカ、ヨーロッパ、インド、アメリカ・・・舞台が次々と変わり、壮大なスケールの物語となっている。
数々の不幸に見舞われながらも、運命を受け入れ生きていくサリー。繰り返される出会いと別れの中で、ある時は泥棒となり、ある時はマジシャンの助手、そして蒸気船のクルーとして働く。欲深い人間たちに利用され、裏切られ、絶望しそうになりながらもそのたびに、人を信じ愛そうとする姿が本当にいじらしい。
ファンタジーの世界なのだが、欲深く狡猾な人間が次々と登場し、とんとん拍子に進まない人生にリアリティを感じる。物語の最後も「サリーは泣いていたが、幸せそうにも見えた」と盛大なハッピーエンドではなく、静かに閉じていく。
100ページを超える長いストーリーで、1年生と4年生の子にはまだ少し早いかなと思ったのですが、魅力的な絵とストーリーに引き込まれ、静かに耳を傾けていました。