山奥に一人で住んでいる鬼は、嫁を貰うことを思いつきました。
可愛がるのではなく、飯炊きや掃除洗濯をさせるためです。
愛情なんて何もないので、
「いうこと きかなきゃ ぶんなぐってやる」
と息巻いています。
さっそく村へ行って嫁の話をします。
ですが、村人たちは、乱暴者の鬼の嫁になんてと大弱り。
そんな中名乗りをあげたのが、「とら」という名前の娘でした。
とらを嫁に迎えて以来、鬼は戸惑ってばかりいます。
「いうこと きかなきゃ ぶんなぐってやる」
と息巻いていたのに、あっという間に逆の立場です。
でも、二人は案外相性が良くて……。
怖いばかりの鬼が、どんどん可愛らしくなっていきます。
表紙も中も地味な色あいで鬼も茶色のこわもてなのに、ラストに近づけば近づくほど明るい色合いになっていく気がします。
読み終えた時なんとなく幸せを感じるのは、私だけではないはずです。
ぜひ読んでみてください。