「おかあさんの顔」がとっても素敵な作品だったので、こちらも借りてきました。
こちらは、絵本ではなくしっかりとした読み物(293p)です。
読み始め、5・6年生向けかなと思って読みましたが、途中からしっかりのめり込み、一気に読んでしまいました。
この作品は、中・高生にも大人の特に女性に読んで欲しいと思いました。
主人公は、12歳のメアリー。
親友が引っ越して行ってしまったばかりで、悲しみと淋しさにくれつつ、下校時老いたトチノキが並ぶ坂道で、昔の人みたいな恰好をしている女の人(タンジー)に声をかけられます。
今、メアリーの祖母エマーが入院していることを知っていて、「あなたのおばあちゃんに、だいじょうぶよってつたえてくれるかしら?」って頼まれます。
この出会いをメアリーは母スカーレットに話します。
スカーレットもタンジーと会い、タンジーが母エマーの早逝した母(メアリーの曾祖母)だと気づきます。
タンジー・エマー・スカーレット・メアリーと女4世代が、数日間同じ時間を共有するのです。
25歳のままの幽霊のタンジー。
3歳前に母を失い、今天に召されそうな老婆となったエマー。
タンジーにそっくりなスカーレット。
エマー似の主人公メアリー。
お話の間に、タンジーとエマーの人生を、回想のような形でおりこみ、終盤、4人で、タンジーが結婚しエマーが生まれたウェクスフォードへの夜のドライブへ・・・・・・。
タンジーとエマーが初めて顔を合わせるシーンは泣けました。
そして、奇妙な4人の夜のドライブでの車中の会話。
何とも言えない深く温かい絆・同じ血をつなぐ女性たちの連帯感が、読んでいて惹かれました。
結末は、読む方にゆだねて、それぞれの感想をお持ちになることと思います。
絵本「おかあさんの顔」と通じる命の絆″について、優しく静かなトーンで書かれている作品です。