美しくかわいらしく、そしてとても悲しい物語です。
そして、この物語を読んだ時、私の大切な優しくて不器用な妻を思い、胸があつくなりました。
妻にもこの絵本を読んでもらい、「何も支えてやれないかもしれないけど、私も「ぼく」のようにいつでもあなたを支えてあげたい、もっと頼ってほしいと思っているよ」って妻に伝えました。
美しくかわいい絵と短い言葉で物語が静かに進んでいきます。
・サボテンの「きみ」は最初はトゲがなかったが、悪口や心ない言葉を受ける内にトゲが身体に突き刺さる。
・「きみ」はやさしいからトゲをなげかえすのをぐっと我慢し、いつのまにか「きみ」自身がトゲになる。
・「きみ」は泣くことも我慢したため、自分の涙を水分にして砂漠でも生きていけるようになる。
・でも自分の涙だけで花まで咲かせることはとても大変。。。
・そんな「きみ」に、「ぼく」はずっと味方だよっ、もっと「助けて」って言ってほしいって考えている。。。
不器用な人、親切な人、誠実な人、思いやりのある優しい人にとって日々生きていくことがどれほど大変な「トゲ」が刺さることの繰り返しかを物語ではとても優しく美しく描かれており、その優しさ・美しさだけ切なくなります。
また、この物語では「きみ」が救われていないように、日々の生活で「トゲ」が劇的に解消することも難しい(ほぼ不可能である)ことも考えてしまいます。
でも「きみ」を「ぼく」が見守り続けているように、「トゲ」が刺さってつらい人にも「ぼく」のような人がいればきっと救われる場面もあるのではないか、と願う気持ちにもさせてくれます。
そして「きみ」の花が皆を優しくして心を癒してくれるように、「トゲ」が刺さっている人にも素敵な魅力があり周りの人を幸せにしてくれる。その魅力を信じてほしい、と伝えたい気持ちにさせてくれます。
妻は私の話を聞いて笑って「ありがとう」って言ってくれました。
そして「良い絵本だね」とも。
この絵本は読む人の立場や状況によって感じることや考えることは様々だと思いますが、読んだ後に大人が感動し、自分の立場で大切な人のこと、日々の生活のことなど色々考えさせられる優れた絵本です。