「ジャケ買い」という言葉があります。
「CDや本など内容は知らないけどカバーの印象が気に入って買うこと」をいいますが、まさにこの絵本は「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ読み」をした一冊です。
もっというなら、タイトルがよくて「タイ読み」した絵本ともいえます。
すると、どうでしょう。
この絵本は春がやってくる季節にぴったりの作品でした。
つまり、「じゅんびはいいかい」の「じゅんび」は、春を迎える準備なんです。
この言葉に続いて、「いいよう! いいですよう! と いって はるがきました」。
この絵本を手にとった自分を褒めてあげたくなります。
荒井良二さんは春がよく似合う絵本作家です。
明るい色、大胆な配色、リズムカルな動き、まるで幼稚園児が描いたような絵ですが、生きる力がみなぎった絵は並大抵の力では描けないでしょう。
だから、荒井さんのファンはたくさんいるのだと思います。
荒井良二さんによく似合うもの。
朝。空。太陽、できれば朝日。風。草。女の子。男の子。ひとみ。春。目覚め。いのち。
そんなものをつめこんだ作品です。
きっと誰もがこの絵本に教えられることでしょう。
そこまで春が来ていることを。
どんなにそのことを待っていたことかということを。
そして、それがいのちのいとなみだということを。