本というのは不思議なもので、本自らがどんどん別の本へとつながっていく。
ウルグアイという小さな国の大統領だったホセ・ムヒカさんのことはおそらく随分以前に話題になったはずで、その時には全然気がつかなかったが、札幌の小さな街の本屋さんだった久住邦晴さんの『奇跡の本屋をつくりたい』という本で、ムヒカさんが大統領時代に演説したスピーチを絵本にした本を知った。
調べると、ムヒカさんはその絵本のタイトルにあった「世界でいちばん貧しい大統領」として有名で、何冊も関連本があった。
そのうちの一冊が本書で、これは装丁こそ絵本のように可愛いが、内容はムヒカさんがウルグアイの第40代大統領として色々な場面で行ったスピーチや取材で語ったこと、それと大統領の任期を終えたあと、この本の編者のくさばよしみさんが直接インタビューで聞いたことなどをまとめたものになっている。
言葉は「言霊」といわれるように大いなる力を発揮することがある。
ムヒカさんの言葉にもそんな力を感じる。
わずか70ページほどのこの本で紹介されている言葉の数々に勇気づけられる人もいるだろうし、慰められる人もいるだろう。
ハッと気づかされることもあるにちがいない。
読者一人ひとりが自分の必要とする言葉に出会えたら、それこそ自分だけの宝だ。
もちろん若い読者だけではない。
年をかさねて、それでも言葉に背中をおされることがあるだろう。
そういう言葉を、この本で見つかられたら、とっても素敵だと思う。