まずなんといっても表紙のライオンの絵に引きつけられる。
描いたのはスティーブン・ウォルトンという人。独学で絵を学んだというからすごい。
色がついているわけではない素描ながら、なんとも引きつけられる。
ライオンだけではない。
この絵本にはほかに、ゴリラ、キリン、トラ、ゾウ、エチオピアオオカミ、ペンギン、ウミガメ、コンゴウインコ、シマウマが描かれている。
それらの動物たちに、数字がついている。
「ライオン1頭」「ウミガメ8匹」といったように。
この数字がこの絵本ではとても大切だ。
この絵本で描かれた動物たちは今絶滅の危機をむかえつつあるというのだ。
例えば、ライオンと並んで人気のあるトラだが、今「絶滅する危険性が非常に高い」動物で、この25年の間でその数は半分に減ってしまったという。
では、何頭かというと、およそ4000頭というのですから驚きだ。
ゴリラもウミガメもそうだ。
子どもたちにそういったことを話すことは難しいかもしれないが、その事実から逃げていてはいけない。
この絵本を広げれば、子どもたちはきっと目を輝かせるだろう。だって、動物たちが実に生き生きと描かれているのだから。
その時に話して欲しい。
これらの動物たちを大切にしないと、本当に絵本だけに生きる動物になってしまうことを。
巻頭に野生動物保護活動に励んでいるヴァージニア・マッケンナが言葉を寄せている。
その中の一節。
「動物も辛さや悲しみを感じます。自分の子どもを守り、勇気をだしたりおそれたりもします。わたしたち人間と同じなのです」