イラクの戦火を逃れて国境を渡る難民家族が、大切に連れてきたねこの話です。
そして、迷子になってしまったねこを、家族のもとに届けるために関わったボランティアの話です。
この本を読むにあたって、同じ題材で書かれた絵本「まいごのねこ:ほんとうにあった、難民のかぞくのおはなし(岩崎書店)」と並べ読みしてみましたが、視点と描き方の違いで印象に微妙な違いを感じました。
この「難民になったねこ」は、家族から離れてしまったクンクーシュのためにボランティアがどれだけ努力したか、美談から考える難民問題として成り立っているように思います。
巻末に解説や、難民を考える参考問題が付されているので、学習的な要素もあるかと思います。
難民家族の苦難という視点では、「まいごのねこ」の方が力点が家族寄りに思えるので、双方を読むことで理解を深めることをお薦めします。