1926年島根県津和野町で生まれた安野光雄さんは、「旅の絵本」「もりのえほん」などで知られています。
安野光雄さんは、字のない絵本というイメージを持っていたのですが、この絵本は1976年のストーリーのある作品です。
安野さんは、ガスタンクを見て「あんな大きなコーヒーカップがあったらどうだろう」と思ってこの絵本を描いたそうです。
その発想が〇。
文字通り、大きなものが好きな大さまが登場するのですが、その馬鹿らしい行為が笑えます。
それに付き合わされる家来が、実に健気。
ストーリー、ユーモアセンス、絵の印象など、日本の絵本作家という枠を越えた作品だと思います。
特に、精緻に描かれた絵は、目を凝らして見ると、家来の表情に至るまで丁寧に描写されているので、一見の価値あるものです。
最後のオチは、人間は自然の摂理には敵わないというもの。
全体的に良く纏まった作品で、安心して読み聞かせできると思います。