どうして子どもたちはゾウが好きなのだろう。
まど・みちおさんの有名な童謡「ぞうさん」の印象が強いのだろうか。
それとも、やはりあの耳が大きくて長い鼻が特徴の造形が興味をそそるのだろうか。
大きな体に似合わない愛くるしい目がかわいいのだろうか。
いずれにしても、ゾウは子どもたちの人気者だ。
この絵本の主人公きっちゃんもゾウが大好きだ。
何しろ毎週のように動物園に出かけて、ゾウのおりの前で観察するのだから、好きも半端ではない。
そして、ある時ゾウが話しかけていることに気づくのだ。
そういったゾウの習性のあれこれがいっぱい詰まったゾウの絵本の作者入江尚子さんは、10年間ゾウの知能の研究をしてきたという女性。しかも、アジアゾウの足し算能力の研究で博士号まで取得している、いわば「ゾウ博士」。
だから、この絵本の書いてあるゾウのことはみんな本当のこと。
さらに絵を描いているのは、かつて旭山動物園で長年飼育係をしていたあべ弘士さんだから、あべさんの描くゾウの表情も本物。
この絵本はそんな二人による最強のゾウ絵本なのだ。
それにしても、ゾウが話しかけてくることあるなんて知らなかった。
そういえば、まどさんの「ぞうさん」は「そうよ かあさんもながいのよ」って答えてくれている。