グリム童話を絵本で読んできましたが、この文庫本で奥の深さをたっぷりと感じました。
フェリクス・ホフマン編で、挿絵もホフマンが行っています。
ホフマンは、グリム童話を数多く絵本化していますが、描ききれない童話をまとめたのか、グリムへの思いを編集の形で表現したのか。
読んでみると圧巻です。
収録された昔話から絵本をたどりたいのですが、限りがあるのが残念。
グリム童話は子どものためだけの童話でないことも感じます。
多少大人の世界的な内容は子供向けにマイルドにしているくせに、不気味さについては手を下せないのかどぎついお話が所々に現われます。
残酷さ、冷たさもどこか魔力をもって描かれています。
「本当は怖い……」とか「大人のための……」とかいった本もあって、大人のファンが多い原因かもしれないですね。
なんとなく、手元に置いておきたい文庫版。
大人向けにも子供向けにも読めます。
収録:カエルの王さま。ネコとネズミのふたりぐらし。オオカミと七ひきの子ヤギ。忠義なヨハネス。マリアの子ども。十二人兄弟。ならずもの。兄さんと妹。ラプンツェル。ヘンゼルとグレーテル。糸つむぎ三人女。白ヘビ。麦わらと炭と豆。漁師とおかみさんの話。勇ましいちびの仕立屋。灰かぶり。謎。ハツカネズミと小鳥と焼ソーセージ。ホレおばさん。七羽のカラス。こわがることをおぼえたくて旅にでかけた男の話。ブレーメンの音楽隊。三枚のヘビの葉。手のない娘。「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をだすロバと、「こん棒、袋からでろ」。親指こぞう。コスベスどん。天国の仕立屋。フィッチャーの鳥。ネズの木の話。名づけ親の死神。六羽の白鳥。オオカミと人間。のらくら国の話。小百姓。