大人のためのナンセンス絵本のように思える作品です。
すっかり過去形になってしまって、怪獣の正体も明かされてしまったネス湖の怪獣を追い続けている男がいるのです。(令和5年現在の視点です)
ひょっとしたら本当にネッシーはいるのではないかと、男のロマンにかけているのです。
そして、10年も待ち続けて来たのです。
そして、ついにそれらしい影を見た時、男の心臓は破裂しそうに高鳴りしたに違いありません。
それなのに、それが巨大な二本の脚に思えた時、男の思考回路はフリーズしたに違いありません。
おまけにどう見ても男の足ならば、それ以上想像したくもない失望に変わるに決まっています。
ナンセンス絵本なのですが、ちょっと男のロマンに冷や水をかけられたようで、私も「お呼びじゃない」と植木等の古典的ギャグを思い出してしまいました。
それにしても、めげずにネッシーを待ち続ける男の人。
この男の人のロマンと哀愁にじんわりときてしまって、大人には笑えません。
無邪気に喜ぶ子どものそばで、お父さんは自分の人生を振り返っているのです。