「落葉」は冬の季語です。
てのひらにすくへば落葉あたたかし(中岡 毅雄)
『俳句歳時記 第五版』の冬の部の、季語の解説にこうあります。
「天気のよい日の芳ばしいような匂い、散り重なったものを踏む音など、俳句にとどまらず詩情を誘う。」
この文そのままに、絵本の世界でも落葉の魅力が存分に味わえる一冊がこの『おちば』。
絵本作家で漫画家でもある、おーなり由子さんが文を書いて、
夫のはたこうしろうさんが絵を描いています。
おーなりさんのリズム感ある文章がとてもよくて、詩を読んでいる、そんな感じ。
「かさこそ、ぱり、ざく、こそそ、がさっ・・・」
文が歌っているかのよう。
それにあわせるように、はたさんの絵がいい。
「あかいはっぱ、きいろいはっぱ、とがったはっぱ、ちぎれたはっぱ」。
なんといっても落葉がきれい。
この絵本のように、落葉を山のように集めて、その上にジャンプする、
そんな夢のような場所はあまりないでしょうが、
絵本の中だったらそれを体験できます。
自分の体に舞い落ちてくる、たくさんの落葉たち。
見開き一面に真っている落葉の世界に、「だいがっしょうだ。」の一文が添えられています。
まさに、落葉たちの「大合唱」そのもの。
冬のはじまりに、こんな絵本の世界に浸るのも、いい。