比較的高学年向けの絵本中心に本選びをしている私には、いとうひろしさんの明快な絵とストレートな内容は対象から漏れていたのですが、この本のラストには深い味わいを感じました。
ひとりで誕生日を迎えようとしているルラルさんを動物たちの仲間が祝ってくれました。
そして、ルラルさんの誕生日を自分たちの誕生日にしていいかとたずねます。
動物たちは、生まれてすぐに捨てられたり迷子になったりして一人で育ってきたので、自分の誕生日を知らないのです。
話はそれだけで終わりません。
「自分たちが何のために生まれてきたのかはわからないけれど、お母さんがいなければ生まれてこなかったのです。お母さんに感謝しましょう。」
ルラルさんは、自分の母親を知らない動物たちに母親の偉大さを伝えるのです。
ぐっとくる一言です。
お母さんは偉大なのです。
あっけらかんとした絵で語られたからか、この言葉はとても大きく響きました。