学校で学んだピラミッドを自分の目で確かめたいという願望に取りつかれた少年ナビル。
自分でも抑えきれない衝動。
ナビルは本当にピラミッドを目指して一人で旅に出ます。
場所も方角も詳しいことをわからぬままの旅立ち。
地図のない旅というのは、夢見る少年の象徴でしょうか。
荒々しいというか、素朴なというか、エスキースのようなデッサンにとても含みがあります。
分かりづらい絵、表情の読み取りにくい絵、表情豊かな絵、絵のつながりの中で、物語のディテールは読者の読み取りにゆだねられたようなお話です。
いろいろな人との出会いと導きの末に、ナビルは本当にピラミッドにたどり着きました。
実際に感じるピラミッドはナビルに何を語ったのでしょうか。
そしてナビルは何を持ち帰ったのでしょうか。
この絵本の中で、ナビルの表情は常に自分への問いかけ、葛藤に満ちています。
とても大きなことを感じさせてくれる絵本。
読む人によってとらえ方はそれぞれかもしれません。