表紙の写真のインパクトの強さに呑み込まれてしまいました。
筆を持っているのが左手。しかも力強く筆を運んでいる。そして、右手。体の後にある! この姿勢で文字を書くのは大変だ!
表紙の写真と、乾千恵さんを知ることからこの絵本の素晴らしさを感じることができると思います。
脳性マヒで、左手しか使えないという乾さんは、車イスの使用者だそうです。それでいて、あちこちの図書館等で書を通じての発表を続けているとのこと。
絵本の中の書は、乾さんの積極的な生き方そのものを表現しているのでした。
自分は書について門外漢ですが、一つ一つの書が表紙のあの姿勢で書かれたことを想像すると、とてもエネルギーを感じる文字ばかりです。
そして、最後の「人」という文字とならんだ乾さんの後ろ姿。
この絵本は乾さん自身だと感じました。
谷川さんの文も川島さんの他の写真も、正直申せば左ページの文字をみると存在感が弱くなってしまいました。
この絵本。乾さんを知ることから始まる絵本だと思います。
そして、乾さんから学ぶことが重要だと思いました。