「人魚姫」というとどうしてもディズニータッチが中心のファンタジー的なイメージがつよいのですが、この『人魚姫』の表紙を見て、ちょっと躊躇してしまいました。
人魚姫の描かれ方が、絵画を見るような気がして、人魚姫自身も古典的感覚にえがかれていて、少し重さを感じてしまったのです。
それにしても絵は美術館で鑑賞しているような感じ。
ラズロ・ガルの他の作品を探せないのが残念なのですが、とても印象に残る『人魚姫』です。
マーガレット・マローニの再話になっていますが、アンデルセン童話が子供向けにアレンジされるときに、随分と多くのものをそぎ落とされていることを感じます。
人魚姫が人間の王子に憧れ、自分の声をも犠牲にして人間になること。
望みがかなわず、自ら死んでいくこと。
詳細に語られれば、とても深みのあるお話なのですね。
前に「あなたのしらないアンデルセン」シリーズの人魚姫を読みましたが、つくづく知っているようで知らないアンデルセンがここにもいました。