2004年の韓国の絵本。
みんなの声の評点が低いのが、意外です。
この手の作品だと、5ッ星の方が何人かいて、一寸厳しい私の評点が4ッ星というパターンが多いのですが、その理由が分かりません。
物語は、赤ん坊が生まれた喜びで沸くある家を、村人達が取り巻いているシーンから始まります。
キルサンと名付けられた男の子は、ドンドン大きくなり、1歳になるとアポジ(パパ)やオモニ(ママ)より大きくなります。
10歳になると、村の裏山より大きくなってしまい、服がないので裸ん坊のまま。
不憫に思った両親が、王様にお願いの手紙を書くのですが、その王様の素早い対応は素晴らしいもの。
布千反を直ぐ贈るのですが、キルサンのパジ(ズボン)とチョゴリ(上着)を何ヶ月もかけて縫い上げるのです。
服を着たキルサンの喜びようと言ったら例えようがないのですが、確かに身の丈は大きくても子供なのですから、その反応は至極当然。
でも、大きすぎたから、キルサンが喜ぶと空が暗くなり、風が巻き起こってしまい、凶作となってしまうのです。
怒ったのは、村人達。
その後を上手く取り纏めたのは、王様なのですが、実に見事な裁きであって、物語に奥行きを与えています。
エンディングも納得のいくもので、昔話風の話として良く出来ていると思います。
「むかしむかし とらが たばこを すっていたころの おはなしだ」という最後の一文は、昔々を表す決まり文句だそうで、異国の文章に触れることが出来るのは、中々良いものです。
巻末には、韓国の「子供の成長とお祝いの行事」と、ハングル語の原文が掲載されており、非常に丁寧な作り込みがされていて、好感の持てる絵本です。
私は、5ッ星は中々つけないので、5ッ星に近い4ッ星という評価にしましたが、分かり易い絵と文なので、読み聞かせにはピッタリの作品だと思いました。