子どもの話を真に受けて、学校面談で担任の先生の頭にガムをこすりつけた父親は、優しくて無口で不器用でシロクマのような存在です。
破天荒な家族のトンデモ話は、この後一転家族崩壊に!!
しあわせいっぱいのはずのクリスマスパーティで、母親が父親とは別の男の赤ちゃんを宿していることがわかってしまうのです。
ラッセは母親に連れられて新しい「父親」の住まいに引っ越します。
そこには男の連れ子の娘ロロ。
ロロとの確執を含め、とにかく凄まじい展開です。
勉強嫌いのラッセにとっては今までと正反対の生活。
新しい父親(ラッセは父親として認めていないようですが)がラッセを頭のよい上品な男の子に育てようと、付き切りで指導を始めるのです。
男にとってラッセは自分の息子同前かもしれないのだけれど、娘のロロにとっては余計な侵入者でした。
成績は良くなっていくけれど、自分の本来の姿ではないと感じるラッセ。
二つの家族間で、ラッセは家族とは何か、父親とは何か、自分とは何かを考え始めます。
思春期真っ只中のラッセと父親の物語。
スタルクの小説は、読む方もハラハラドキドキの連続で息をつく暇もないのですが、哀愁ととてもナイーブな精神表現が魅力です。
おまけにサービス精神たっぷりのエンターテイメント。
物語の重要な役割としてプレスリーの歌があるようですが、これだけは踏み込めませんでした。
エルビス・プレスリーの歌、歌詞を理解できていたらもっとハートブレイクだと思います。
高学年とお父さんにお奨めです。