この絵本は2011年の11月の発行です。
東日本大震災から8か月、佐々木マキさんの震災後初めての「こどものとも」の作品ではないでしょうか。
海の前でたくさんのひとが「はぐ」をする。
はぐには喜びがあります。
この出会った喜びは、分かれた人同士の再会の喜びです。
そして失われてしまったものがあって、
それでもその中に確かに喜びがあって、温かさがあった。
あるいは今もそれは確かにある。
そのことを描いた作品だと、わたしは考えています。
そうして最後に改めて海が描かれる。
優しくて、穏やかで、美しい海です。
佐々木マキさんらしい、ユーモラスで、でも本当に鋭く、
そして何よりも心がこもった作品だと感じました。