新美南吉の童話集です。
最後に「はじめて見るものへのおどろき」という解説があるのですが、この本は確かに、はじめて見るものへの興味心でまとめられています。
5編の童話が載っています。
「でんでんむし」は、母親の背中ではじめて見る、葉っぱやチョウチョウへの感動の向こうに大空があることを感動的に描いています。
「みちこさん」では、ベビーカーを押して歩いているお母さんの赤ちゃんを抱いてあげる喜びの発見を描いています。
「うまやのそばのなたね」は、厩のそばの花のつぼみが、馬の赤ん坊を始めてみることの、くすぐったさを優しく描いています。
「里の春、山の春」は、小鹿が初めての迎えた春の情景を心優しく描いています。
「赤いろうそく」は初めて赤い蝋燭を見た猿が、花火と間違えて仲間たちとドタバタ喜劇を始めるさまを描いています。
それぞれに、初めてのことを、新美さんの優しい目線で描いています。
ほのぼのと感じる、作品集でした。