入園(卒園)にはやっぱり“さくら”がよく似合います。さくらが咲く季節や、園に馴染んだ頃の子供に読んであげたい作品です。
お話しは、ようちえんに行くことを心待ちにしていたはずの“まこちゃん”が入園式のあと「もう行かない」と言い出して、おばあちゃんが、昔同じように行かないって泣いた“だれかさん”のお話しをしてくれます。このくだりで、うちの息子も保育園に入って半年は行くのを嫌がっていた日々と重なりましたが、息子はどう感じているのかなと思いましたが、静かに聞き入っていましたので、2年目で園が楽しい今では思い出に変わったのか、それとももう忘れてしまったのかわかりませんが、この絵本の“だれかさん”のようにのちのち良い記憶として思い出せたらいいですね。
石井勉さんの絵には初めて出会いましたが、かわいい画風でてっきり女性の絵と思い込んでしまっていたのですごく驚きました。無駄な描き込みがない分、人とさくらが密接に感じられ、画面いっぱいのさくらの花が強く印象に残りました。行事の様子も楽しそうに描かれていますが、なにより表情がとても柔らかく素敵なんですね。空白ではない部分の白色の描写もすごく綺麗です。ぜひ他の作品も観たいと思いました。