とってもかわいらしい女の子のアナベル。
アナベルの拾った箱のなかには、色鮮やかな毛糸がありました。ふしぎな毛糸は決して絶えることなく、編み続けることのできる不思議な毛糸。
白い雪と黒いすすでおおわれた町に、アナベルはこの毛糸で彩りを与えていきます。
町中のみんなにセーターを編んで、それでもまだまだ毛糸はのこって、町中の景色もどんどん色鮮やかにしていきます。
ある日、オシャレな王子がやってきて、その箱を買おうとします。
でも、どんなにお金を積まれても、アナベルは箱を売りません。ついに王子はその箱を盗もうとしますが、王子が箱を開けると中身はからっぽ。
不思議な毛糸はアナベルだけが使える特別なもので、アナベルはたとえ王子が呪いをかけてもずっと幸せでいられます。
ジョンクラッセンのかわいい絵柄と、素敵な彩りに目を奪われるとても美しい絵本です。
もちろん、子どもにとってもわかりやすいお話ですが、アナベルの毛糸が示すものはいったい何でしょう。
邪心のない、町のみんなを明るくしたいという純粋で無垢な気持ち、それをアナベルはひたすら編み続けていたようにも思います。
そう思うと、とても温かい気持ちになれる作品です。