クレヨンというのは、「石鹸・蝋・脂肪などに各種の顔料をまぜて棒状に造る」と「広辞苑」に出ている。「学童などが用いる図画用の絵具」ともあるように、ほとんどの子どもが使ったのではないだろうか。
色鉛筆と違って、削らなくてよくて、描いていく感触も柔らかいのがいい。
漫画の「クレヨンしんちゃん」とか児童書専門店の「クレヨンハウス」とか、やはり子供と関係して馴染み深い。
そのクレヨンを題材にして、「ナンセンスの神様」という異名のある絵本作家の長新太さんが描いた作品が、この絵本です。
一本のくれよん(絵本の表記がひらがななので、以下ひらがなで)がまず出てきます。
大きな丸太のように、とても大きいのです。
どうしてかというと、ぞうさんのくれよんだからです。
ぞうさんが青いくれよんで大きな丸を描くと、まるで池みたいにみえます。
まちがってカエルが跳び込んだりします。
赤いくれよんで描くと、火事みたいに見えます。
動物たちがあわてて逃げ出します。
黄色のくれよんで、大きなバナナを描きましたが、もちろん食べられません。
ぞうさんの大きなくれよんは、人騒がせなくれよんです。
ページを開くと、子供たちの歓声と笑い声が弾きでるような作品です。