金遣いが荒くて、親の残した財産を食いつぶしてしまった男に残されたのは、友人がくれた不思議なトランク。
空を飛ぶトランクに乗ってトルコにやってきた男が、宮殿のお姫様とハッピーエンド…、と思ったら違いました。
途中に出てくる、男が考えたという楽しい挿入話が面白い。
マッチと家の中の道具たちが、自慢話をはじめます。
いろいろな道具が自慢しあった顛末は、最後にマッチが火をともして自分が一番だと勝ち誇りますが、燃え尽きてしまうのです。
後から考えたら、絵本全体の暗示になっているのですね。
お姫様と結婚することになった男は有頂天になって、トランクで空を飛んで花火を打ち上げます。
それはそれは素晴らしかったけれど…、気がついたらトランクは燃えてしまいました。
男を待ち続けるお姫様。
作り話を続けながら、どこかをさまよい歩いている男。
その後はどうなるやら。
そういえばこうなることが、お話には暗示されていました。
とても文章にあじわいがあって、楽しく読みました。