受験に失敗して、なにもかもイヤになり、自棄になった女の子のはなし。
それが突然戦後の結核病棟へトリップ。自分が結核患者に。それも末期。
生きるとはどういうことか。命とはどういうことかを見直すきっかけになります。
ちょうどニュースを見て、なにもかもイヤになって死にたくなる気持ちがわかると言う娘に「えぇっ?!」と戸惑った頃に読んだので、是非読ませたかったが、読書とはそういうものであってはならないと踏みとどまる。
いつの時代にも、自棄になっちゃうことや果てに死を選ぶ人はいる。だが、反対に生にしがみついて力の限り生きた人もいる。
その両方を味わう主人公。
高学年から大人まで、戦後の普通の人々が、どんなに力いっぱい生きていたのか、結核とはどんな病気か、読んで欲しい。
文章が上手で読みやすく、暗さや説教臭さを感じずスッと読めます。
本棚に立てておきたい。本当の戦争とは戦後のことではないかと、ある児童文学を読んで以来考えています。これもそういう一冊でした。
そして命の大切さを訴える本は多いが、この作品ははっきりそうとは書いていないにも関わらず痛烈に伝わってくる。
う〜ん、多くの人に読んで欲しい。
ところどころに良い文章が転がっていて、一文一文大切に覚えていたかった。