大きく育つことができなかったモミの木は、クリスマスツリーとして買われることなく、お店の人に捨てられそうに・・・。その時、そこに居合わせた男の子が、そのモミの木を貰って、橋の下に帰っていきます。
モミの木は ろうそくを飾ってもらい、橋の下で暮らす人たちや、通りがかりの人たちと一緒にクリスマスを祝います。モミの木は幸せで一杯!そして、幸運はまだまだ続きます。普通のクリスマスツリーがやがて燃やされてしまう中、この木は公園に植えられ、大きな木に育つのです。
一見、不幸に思えることがあっても、思いがけない偶然が重なって、物事が好転していくことがあるのだなぁ〜と嬉しくなりますが、最初 読んだとき、男の子のことが気になって仕方がありませんでした。小さな可愛い男の子が、たった一人で、橋の下でホームレスの暮らしをしているのです。町は落ち着き、華やかなのに、そんな中、なぜ? モミの木は幸せになったけれど、男の子はこれでいいの?と。
とても素敵な絵本なのに、作者は なぜ あえてこの設定にしたのだろう?と、心底嬉しい気持ちにはなれなくて、もやもやしていましたが、再度、よくよく最後のページをみると、「もしかしたら、モミの木を見上げているこの男の人は・・・!?」と思うようになりました。
「こんな日がくるとはねえ・・・・・・」というモミの木の言葉。それは、自分のことだけでなく、あの男の子のことでもあるのではないでしょうか?そうだと信じたい、いいえ、きっとそうに違いない!と思います。
おしゃれで温かみのある素敵な絵によるクリスマスの絵本です。