ワニになにがおこったか、
たしかに平凡に暮らしていたはずのワニに何かが起きてしまうのです。
それも誰かが意図したわけでもなく。
卵からかえったのはワニではなくヒヨコでした。
周りのワニたちからさんざんな非難を受けながらも
懸命にパパとしてヒヨコのリーパを育てるガーパ。
息子のあるがままの姿を受け入れようと模索するガーパの姿や、
父親の期待に精一杯答えようとするリーパ、
そして彼らを取り巻く決してあたたかいとは言えない
「周囲の目」に深く考えさせられます。
子供も大人も、というより
みんなで考えることができるのではないかと思います。
そんな中、リーパの可愛さが強く目にとまります。
「パパ!」とすり寄るリーパのなんと可愛いことか。
リーパの姿にガーパが笑顔になるとき、
こちらまであたたかい気持ちになれました。
追加するなら、個人的に☆を一つ減らした理由として、
「異なる二匹の在り方」としてのラストを期待したところ
どこかへ飛んで行ってしまったという終わり方に、
社会において異なるものと共存することは不可能なのだろうか
と受け取ってしまったことです。
いや、周りのワニに変化がないことにこそ、
読者に対する議題の提示があるとは思うのですが。
あの親子があの場所で幸せになる方法はなかったのかなと思いました。