日曜日に自宅の書斎の掃除をしようとした40代の大学教授が、本の中に迷い込んで大冒険するお話。
1973年刊行。
ありえない展開が次々に起こるところが、遊園地の乗り物を次から次へと乗り換えていく感じを思わせる。
ちょっと不思議の国のアリスの世界に似ている気がしたが、主人公が40代の冴えないおっさんで、いろいろと屁理屈をこねて思い悩んだり、泥臭いところがギャグマンガ風でもある。
このオヤジは、大学の教授で、生物学者だという。
いろんな生き物が登場するが、先生の独自の感性や哲学でもって、なかなか小難しいことや深刻なことも考えさせられる。
例えば、絶滅した動物について、人間が食べつくしたという部分などは、個人的に心に残った。「食べる」ということは、どの生き物もしていることだけに、いろいろ考えされられる。
一見、ギャグマンガのようなとんちんかんな話の中に、読者にちょっと考えさせられるテーマがさりげなく織り込まれているあたりが、筆者の野心を感じる。何を伝えたかったのだろうか?
難しい事を考えなくても、普通に楽しい読み物だけど、大人になってから読むと、大人の目線で余計なことも考えてしまうので、子ども時代の自分よりも数倍楽しめた(味わえた)と思う。