【あらすじ】
極端な偏食の少女は、母親が作った朝ごはんが食べられない。大好きなのはふりかけだけだが、ふりかけごはんは栄養がとれないという理由で母親に禁止される。そんな絶望の中、通学路にある神社でお祈りしてみると、ふりかけの神様があらわれ、「神様ふりかけ」を授けられる。一生ふりかけが楽しめるが、その代り条件があって…
【感想】
ふりかけばっかり食べている子ども。
よくぞこの題材を見つけたと感心する。自分も小学生1〜2年生のころ、やはりふりかけにはまって、他のおかずはどうでもよくなった時期があった。やはり、絵本の中のお母さんと同じく、ふりかけご飯は栄養不足と怒られた。懐かしい思い出がよみがえりました。
今では好みが変わってしまったのでふりかけを食べる事はめったにありません。もし、自分もふりかけの神様に、「一生、ふりかけが一番おいしいと思っていなくてはならない」と言われたら、難行苦行の日々だと思います。でも、子どもの時は、目の前の苦しみから逃れたいことだけで、「一生のお願い!」とか「一生、約束する」とか、安易に飛びついてしまう。そんな子ども心も、しっかり観察しているなあ、と感心しました。
世界一おいしいふりかけを食べる場面の、描写が秀逸。小学生の少女の、素晴らしい感性が光る一瞬です。そして、その逆の、お母さんの作った朝食のまずさの描写も卓越している。味噌汁を飲むたびに悪夢が蘇りそうな、容赦ない酷評。
食べ物を表現する力の、卓越した作者です。
個人的には、こんな旅館の朝食のような素敵な料理ができるお母さんは、国民栄誉賞をもらって欲しいと思います。ありがとう、おかあさん。