2編の伝説が収録されていて、千葉県民にはうれしい絵本でした。
「上総の観音さま」
昔の農村は、地主と下作人という差別社会だったことを改めて感じます。
食うに困らないけちな地主は、米俵の数が減ったと言って騒ぎ立て、そのために下作人に言われもない罪を咎め立てるのでした。
おからしか食べられぬ下作人は、それを白まんまと言い聞かせていたというお話です。
伝説話ではあるけれど、格差社会の原型を見たように思いました。
「伝説更科姫」
格差カップルの悲劇のお話です。
お殿様の娘と、豆腐屋の息子が結婚したらこんなことになるのでしょうか。
育ちも暮らしも違うのです。
自由奔放に育った姫は、豆腐屋の生活には馴染むことが出来なかったという悲劇です。
愛は格差を乗り越えられないのでしょうか。
地名の由来に発する言い伝えですが、悲しい由来だとちょっと辛いです。
地元に伝わるお話は、感じ方も一味違います。