贅沢品あふれる子ども世界への、絵本からの答え
私は36歳、まさに親になっていてもおかしくない世代です。
さて、我々の世代が小学生のころ、ちょうどファミコンブームがありました。
以来、子ども相手の贅沢品が増えに増え、ゲーム機は子どもに欠かせないコミュニケーションツールになりました。
また、有名ファッションブランドにおいて、子ども向けラインが登場したり、お母さんやおばあちゃんの手作りおやつよりも甘くて美味しいコンビニお菓子、最近では、基本無料をうたった携帯ゲームの、巧妙な課金によって、お金を使いすぎてしまうお子さんの問題が話題になりました。
一方、私達が子どもだった時に比べて、両親の共働きは一層増え、両親、特にお母さんと子どもさんが一緒に過ごす時間は減っていきました。
そして、そんな親と子の間隙を縫って子どもに浸透していく、贅沢品たち・・。
そのような社会的背景に対して、言論や法規制など様々な方法で改良を図っていくことはもちろん大切なことでしょう。
しかし、事は子どもとお母(父)さんとの間に生まれている問題。
そのような密接かつ温もりが伝わりやすい間柄においては、「絵本」や「寓話」といったものもまた、作者や読み聞かせ手が想像していないほど、パワフルな効果を果たすのかもしれません。
絵本は、子どもに身近な媒体だし、子どもが心を開きやすく、かつ主人公に共感しやすいですよね。
「贅沢はいけない!」「高いものを買っちゃだめ!」と子どもに躾けるより、お子さんは、本書を読み聞かせられていくなかで、ストーリーの進展とともに、欲求・楽しさを過度に追い求める恐ろしさに対して、身につまされる感覚を味わうでしょう。
(詳述はあえてしませんが。)
さらに、それが解決し、お母(父)さんとの関係が「モノ」ではなく、
「想いの強さ」「絆の強さ」「当たり前の存在のありがたさ」に基づくものだという、あたたかい感覚と、安心感に包まれる喜びを追体験して、ホッとニコニコする読後感を味わうことでしょう。
その体験は、強いしつけの声より、きっとお子さんの胸にあたたかい物、響くものをのこし、長い時を経ても、色褪せないかもしれません。