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宮沢賢治の絵本 黄いろのトマト」 その他の方の声

宮沢賢治の絵本 黄いろのトマト 作:宮沢 賢治
絵:降矢 なな
出版社:三起商行(ミキハウス) 三起商行(ミキハウス)の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:2013年10月19日
ISBN:9784895881302
評価スコア 4.38
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みんなの声 総数 15
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  • 娘が宮沢賢治さんの本で読書感想画を描く、というので、
    何冊か一緒に読みました。

    このお話を初めて読みました。

    「わたくし」が子どもの頃に体験した、博物館に飾られていた剥製の蜂雀が語ったお話です。

    こどもの純粋なこころとそれを忘れてしまった大人・・・

    お話のはじまりも不思議な感じですが、
    読んだ後はどうしようもなく切ない気持ちになりました。

    絵を描いているのは降矢ななさん。
    大すきな作家さんです。

    お話にとってもぴったりで、
    さらに切なくさせてくれました。

    私はすっかり大人になってしまい、蜂雀の声が聞こえません。
    もう少し、ゆとりを持ったら聞こえてくるかもしれません。

    投稿日:2016/11/16

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  • なぜか、不思議と

    この物語を、初めて読みました。

    「かあいそう」と言う蜂雀の口調がなんだか怖く感じ、
    どんな話なのだろうと、少し構えて読み始めましたが・・・

    降矢ななさんの、どこか懐かしいような絵の中に引き込まれ
    いつの間にか、その場所に立っているような感覚になりました。

    特に夜のサーカス団の魅惑的な輝きは、そのページを読み会えた後にも余韻が残り
    もう一度、と、ついめくってしまったほど。

    しかし、なんでしょう。
    最後は切なく、やるせない気持ちになりました。

    お金を最も重要なものと考えている大人たちには、
    兄妹の宝物は、何の価値もないものなのでしょうか。

    その時の兄妹の気持ちを考えると、
    なるほど、蜂雀が口にしていたとおり
    「かあいそう」としか言いようがありません。

    けれどもなぜか、不思議なことに、
    この絵本に出会えて良かったと 心からそう思いました。

    とても残酷な物語なのに、繰り返し読みたいと思うのです。

    その理由を、いつか分かる日が来るのでしょうか。

    投稿日:2014/07/03

    参考になりました
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  • 黄金のトマト

    博物館の剥製の蜂雀の話に、そっと耳を傾ける少年がいました。

    それは兄妹二人だけで仲良く楽しく暮らしていた、ペムペルとネリという子どもの話でした。

    二人が育てた赤いトマトの中に、一際輝く黄色いトマトがありました。
    ペムペルとネリはその美しいトマトを見て「これは黄金なんだ」と、心からそう思いました

    私は無知が不幸だとは思いません。
    でも、どうしてあんな風に言われたのか
    傷ついた理由もわからない
    それが悲しい
    二人の心は傷ついたまま、誰も教えてくれる人がいない
    それが不幸なのです
    蜂雀の声が二人に聞こえないならば、慰めてあげることもできない
    それが一番悲しいのです

    いい音の誘惑に胸躍る二人の目には、世の中は楽しくて輝かしいものに見えたのでしょう
    でもそれは二人の小さな世界にはない、冷たさや非情さも一緒に連れてやって来たのです

    少年に蜂雀が言った「ああいうかなしいことを、お前はきっと知らないよ。」という言葉が、頭から離れません。
    教育を受けた者にはわからない。
    二人はあまりにも、純粋だったのです

    …後半は可哀想で可哀想で、もう見ていられませんでした。
    幼い二人の心が壊れてしまったのではないかと思うと、胸が張り裂けそうです。

    剥製になってもなお、二人を忘れられないでいる蜂雀もまた悲しく、そんな蜂雀の苦しみは計り知れません

    でも蜂雀の声は二人には届かなくても、あの少年には届きました。
    あの少年だからこそ話をしたならば、番人のおじいさんがこっそり少年を室の中に入れてくれたのも、全てわかっていたからなのかもしれません。

    おじいさんも小さい頃に蜂雀の話を聞いたのか…
    おじいさんはもしかしたら、ペムペルなのか…

    読み終えた後も、ずっとそんな事を考えてしまいました。

    未完成のお話ということで矛盾な点などもありましたが、降矢さんの素晴らしい挿し絵に酔いしれながら、ゆっくりじっくり自分の中で解釈し想像しながら読み進めることができました。

    悲しくも美しいこのお話が、私はとても好きです
    できることなら、完成された作品も読んでみたい

    私にとって、とても大切な一冊になりました。

    投稿日:2014/06/17

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