あひるとがちょうがどちらがチャンピオンか競う。
泳ぎはあひるが速かった。高く飛べたのはがちょう。
じゃあ、”うごいたらまけ”競争をしようということになった。
動いても、しゃべっても、羽をもぞもぞしてもだめ。
これに勝った方が、本当のチャンピオン。
二匹は、蜂が来ても、うさぎが来ても、カラスがきても動かない。
すごい風に飛ばされても、全く動かない。
そこへお腹をすかせたきつねがやってきた。
二匹を晩御飯にしようと袋に入れて、家へ持って帰る。
大きな鍋に水をたっぷり入れて、火にかけ、いろんな野菜を入れ、さあどっちを入れようか。
がちょうを手にとって入れようとした時、あひるがきつねのしっぽをむしり、かみついた。
「あたしのともだちをりょうりしちゃあ だめ!」って。
勝負は、がちょうの勝ちだけど、本当のチャンピオンはあひるだって、がちょうが言う。そして、二匹はきつねの残していった野菜スープを仲良く食べる。
あひるがずっと、「いまにきっと、がちょうが動く」と思っているの。
でも、全く動かない。
子供たちも「死んじゃったのかなあ」と心配するくらい。
どきどきしたねえ。
あひるが自分の勝負を捨てても、がちょうが、ともだちが大事と言う気持ちはやっぱり一番。だから、チャンピオン。
ほっとして、うれしい気持ちになった。