ストーリーとしての完成度がとても低く、読後モヤモヤだけが残ります。
お母さんは子どもの行動や言葉に向かい合わず、自分の都合で子どもの行動一つ一つに腹をたてています。
その割に、子どもがお弁当を忘れたりパンツをはき忘れたりそでを切ったりに気づかないのは不自然です。
怒り方もお笑い芸人のようで、子どもに使う言葉として不適切です。
また、「親を怒らせるために生きている」というのも共感できません。
子どもが親に怒られるのは、多くの場合好奇心や楽しさの結果にすぎません。
おこらせるくんも普通の元気な幼稚園生という感じで、シャツをすてきにしたいとか、おもちゃが楽しいとか、彼なりの理由があってのことばかりです。
ユーモラスな日常を見るだけなら楽しい絵本なのですが、そこから急にお母さんが泣いてわめき、唐突にお涙ちょうだい場面になりびっくりしました。
そして、お母さんのいう「あなたのために」っていうのは、虐待につながる思考です。
子どもに伝えるべき言葉ではありませんし、これを聞いて子どもが泣いて感動するとも思えません。
読み返しながら、この話の主役はだれなのかなあ、と考えました。お母さんでもないし、おこらせるくんでもないですね。
なんとなく、作者の方がこういう風にお母さんに言われたかった、という作者さん主役のストーリーなのかな、と感じました。